今年の夏も猛暑の予報。お出かけとおうちの中での熱中症予防対策を教えて!
ここ数年、夏とはいえ毎年暑すぎますね。
4歳と7歳の子どもたちも、もうすぐ夏休みですがずっとおうちにこもっていたくなります。
お出かけの時やおうちで過ごす際の熱中症予防対策を教えてください。
人は汗をかいた時に体の熱が下がりますが、子どもは汗をかく機能が発達しておらず、大人と比べると暑さを感じてから汗をかくまでに時間がかかります。そのため、子どもは体温が下がるのに時間がかかり、体に熱がこもりやすく体温が上昇しやすいです。また、全身に占める水分の割合が大人より多く、外気温の影響を受けやすいです。気温が体の表面温度より高くなると、体の熱を逃がすことができず、体に熱がこもってしまいます。さらに、子どもは身長が低いので、地面からの照り返しの影響を強く受けます。大人の顔の高さで32℃の時、子どもの顔の高さでは35℃程度になるとも言われています。そして、子どもは自分の体調の変化を伝えることが難しく、遊びに夢中になっていると体に異変が起きていても気づかないことがあります。このようなことから、子どもは熱中症になりやすい状況があります。
熱中症予防の対策としてできることをお伝えします。子どもがのどの渇きを訴える前に、おおよそ20分おきに100~250mlの水分補給をしましょう。通常の水分補給は水や麦茶など、糖分の含まれていないものにし、気温が高い時や運動時など汗をたくさんかいた時には電解質などが含まれたイオン飲料にするとよいですね。また、外遊びは午前中や夕方など、できるだけ気温が低い時間帯を選び、帽子を必ずかぶりましょう。子どもの汗の量や顔の赤さなどをよく観察して15~30分に一度は、木陰などの涼しい場所で休憩するようにしてください。洋服の素材や形、色も気にかけていきましょう。素材は、汗を吸ってくれ、吸った汗が早く乾く、綿や麻、ポリエステルがおすすめです。形は袖口がふんわりしていて、襟ぐりがあいているほうが体と服の間を風が通りやすくなります。色は、熱を吸収しにくい白や淡い色を選びましょう。汗にぬれた衣類は汗の蒸発を邪魔して体に熱がこもるため、汗でぬれたときは着替えましょう。繰り返し使うことができる首を冷やすためのネッククーラーやハンディファンなどもありますので、活用してみるのもよいですね。ネッククーラーは、遊具で遊ぶ時や激しい遊びをする際に引っかかる可能性があるため、休憩するときにクールダウンとして使いましょう。室内でも熱中症は起こるので、エアコンや扇風機を使用して室温を28℃前後、湿度は40~60%にキープするのもポイントになります。
最後に、体を徐々に暑さに慣れさせることで、暑さに強くなる「暑熱順化(しょねつじゅんか)」についてお伝えします。適度な外遊びや室内での活動でも汗をかくぐらいの活動をする、シャワーだけでなく湯ぶねにつかるなど、無理のない範囲で暑さに慣れさせ、汗をかく機会を少しずつ増やしていきましょう。暑熱順化を進めていくときには、水分補給をする、子どもの顔色や汗のかきかたをみる、体調の悪い日は無理しないことに注意してください。
POINT!
子どもは自分の体調の変化を伝えることが難しく、遊びに夢中になっていると体に異変が起きていても気づかないことがあります。汗の量や顔の赤さなどをよく観察して、こまめに木陰などの涼しい場所で休憩するようにしてください。
アドバイスをいただいたのは…
渥美 綾子先生
山形県出身。専門は公衆衛生看護学。看護師・保健師。
保健師の経験を経て、看護師・保健師の教育に携わるようになる。
現東北福祉大学健康科学部准教授。
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